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<学生団体>11月のおすすめ本

(1)『論破力』 西村博之著
▶ISBN:9784022737915
▶書名:論破力
▶著者:西村博之 
▶出版社:朝日新聞出版
▶本体価格:810円

皆さんはひろゆき(西村博之)氏をご存じだろうか。彼はかの有名な匿名掲示板「2ちゃんねる」の創設者であり、複数の本を出版、テレビなどのメディアや、最近ではYouTubeにも良く顔を出しています。今やIT業界のみならず世間一般の人でも名前は聞いたことあるという人が多いかもしれません。
そんなひろゆき氏には、「論破王」なんて異名があることをご存知でしょうか。
ひろゆき氏は時折テレビの討論番組などに出演されたりしますが、その度に彼が披露する論破ショーは度々ネット上で話題となります。彼の前に薄っぺらな論理や感情論は通じません。彼の話術はいわゆる詐欺師のような言い回しなどではなく、ただただ事実と論理に裏付けされたものであり、またその説得力のある話し方から、誰もが頷いてしまう。いったい何がそこまで彼の「論破力」を確固たるものにしているのか。その秘密がこの一冊には詰まっています。
大学という場では、よく議論したり意見を交わすことがあると思います。誰でも一度は「自分の意見を通したい」だとか「自分は正しいハズなのに相手に論破された、悔しい」なんて思ったことがあるのではないでしょうか。論破したいと思っていなくても、議論の場が苦手だったり、いつも下手に出てしまって悩んでいたり、そんな人たちにとってこの本は全く新しい視点や考え方を与えてくれるものとなるかもしれません。皆さんも一度、頭の中に「ひろゆき」を飼ってみませんか? 


(2)『帰ってきたヒトラー 上」』 ティムール・ヴェルメシュ著 森内薫訳
▶ISBN:9784309464220
▶書名:帰ってきたヒトラー 上
▶著者:ティムール・ヴェルメシュ  森内薫 
▶出版社:河出書房新社
▶本体価格:640円

 1945年、自殺したヒトラーは何故か現代のドイツにタイムスリップしていた。目を覚ました彼はネットを通じて、自分が公式には死んだことや、現代ドイツが抱える問題について見識を深めていく。無論、周囲の人は彼をヒトラーのモノマネ芸人と勘違いしている。SNSやテレビを通して、時事問題に切り込む彼は瞬く間に人気者になるのだが、彼の正体に気付く者が現れ始め…
 彼が切り込む時事問題は現代ドイツの矛盾点そのものである点は見逃せない。それは移民問題である。市井のレベルにおいて、犯罪率が高く、失業率を高めていると移民は忌み嫌われている。「帰ってきた」ヒトラーはこのギャップに注目し、市民の不満を吸い上げる。そして、移民の排斥をテレビで堂々と訴えるのだ。
 この作品の興味深い点は、自分の思い込みを知らされる部分にある。「国民は何故、あんな独裁者に靡いてしまったのだろう。」教科書を読んで少しでもそう思った人には是非読んで欲しい。ポリコレが重視される中で、人々の本音を吸い上げ、明確なビジョンを掲げ、それを迅速に解決する政治家(彼は作中ではまだコメディアンであるが)の何と頼もしいことか、ドイツの一般市民の視点で考えられると思う。
 私は彼の犯した罪は償いきれないものであると考えている。しかし、時代が彼のような指導者を求めているのも事実ではないだろうか。その恐ろしさを、この本の読者は読み終わった後で考えるべきであろう。


(3)『四畳半神話大系』 森見登美彦著
▶ISBN:9784043878017
▶書名:四畳半神話大系
▶著者:森見登美彦
▶出版社:角川書店
▶本体価格:680円

『大学三回生の春までの二年間、実益のあることなど何一つしていないことを断言しておこう。異性との健全な交際、学問への精進、肉体の鍛錬など、社会的有為の人材となるための布石の数々をことごとくはずし、異性からの孤立、学問の放棄、肉体の衰弱化などの打たんでも良い布石を狙い澄まして打ちまくってきたのは、なにゆえであるか。
責任者に問いただす必要がある。責任者はどこか。』
堕落した生活を送る大学三年の「私」と、「私」の唾棄すべき友人・小津。二人を取り巻くのは理知的でクールな黒髪乙女の明石さん、八回生にもかかわらず超然とした雰囲気の樋口師匠、映画サークルの会長の城ヶ崎先輩、歯科衛生士で酒癖の悪い羽貫さんなど、ひとくせもふたくせもある人ばかり。そんな「私」の二年間と三年生の不毛な日々が、作者の軽妙な語り口で綴られる。
大学一年生の春、運命の時計台前での選択。「私」の大学生活の行く末はどう変わるのだろうか。「私」が幻の至宝と言われる「薔薇色のキャンパスライフ」を手に入れる日は来るのか。


(4)『虐殺器官』 伊藤計劃著
▶ISBN:9784150311650
▶書名:虐殺器官 新版
▶著者:伊藤計劃
▶出版社:早川書房
▶本体価格:720円

皆さんは、“言葉”というものがどのようなものなのか、考えたことはあるだろうか。
本作は、銃弾が飛び交うアクション近未来SFであると同時に、“言葉”を巡る物語でもある。
9.11以降、徹底した情報管理体制の下で先進各国が平穏を維持する一方、後進国では内戦や虐殺が急増し、世界は大きく二分された。主人公、クラヴィス・シェパード大尉の属する情報軍特殊検索群分遣隊は、アメリカ軍の中で唯一、暗殺任務に従事していた。彼らは紛争地帯での暗殺任務をこなすにつれ、各地で起こる大規模虐殺の陰に、いつも“ある男”の影があることに気づく。ジョン・ポールというその男が訪れた国にはたちまち混沌が訪れ、そして虐殺が始まる……虐殺を引き起こすのは彼なのか、だがどうやって?主人公はジョンを追うにつれ、彼の描く残酷な世界の構図と、“言葉”に仕掛けられた驚愕の仕組みを知ることとなる。
この作品を読み終わったとき、期待を超えた小説を読んだという思いとともに、テロ、貧困、グローバリズム、情報化など現実が抱える諸問題を、恐ろしいまでのリアルさで描いていることへの驚きも抱いた。SFだが決して現実離れしているわけではない。もしかしたら、本当の世界の構造はこうなのではないか、知らないだけなのでは、と思わせられるほどだ。作中では迫真のディティールで描かれた近未来の戦闘、そして核となる“言葉”をめぐるミステリーが淡々とした、そして繊細な文体で語られる。息の詰まる凄惨なシーンも多いが、主人公の語る「一人称の戦争」を通して、この物語の結末にたどり着いてほしい。


(5)『ゼロからトースターを作ってみた結果』 トーマス・トウェイツ 著 村井理子訳
▶ISBN:9784102200025
▶書名:ゼロからトースターを作ってみた結果
▶著者:トーマス・トウェイツ  村井理子 
▶出版社:新潮社
▶本体価格:750円

いきなりですが、皆さん自分の身の回りの物がどうやってできているのかご存知でしょうか。また、それを自らの力のみで作ることは可能でしょうか。単純そうな物でも案外作るとなると難しいものです。
この本は筆者がトースターを「ゼロ」から「自分の力のみで」作ることに挑戦する本です。ゼロから作るので、鉄が必要なら鉄鉱石を取りに行き、プラスチックが必要ならじゃがいもからデンプンを取り出し、精製します。筆者の驚くべき根性と行動力に満ちた本です。
固い見方をすれば、昨今の大量生産の流れに一石を投じる新しい知見も秘めていて、筆者の無駄な?苦労から学び、考えさせられることもきっと多いでしょう。
ちなみに私はこの本を読んでとても感銘を受け、同じようにゼロからボールペンを作ろうとしたのですが、二時間で挫折してしまいました。あまり真似をするには向いていない本のようです。


▼ 2019年11月の担当学生団体 ▼
体育会ライフル射撃部

ライフル射撃という競技を皆さんご存知でしょうか?日本ではマイナーで、知らない方も多いでしょう。ライフル射撃は圧縮空気を用いて鉛弾を発射する銃(エアライフル)を使って10m先の円形の標的を狙い、どれだけ中心を撃ち抜けるか競う競技です。最近はこのライフル射撃を題材とした漫画もあり、注目のスポーツです。当部では大学に入ってから始めた人ばかりですが、日々切磋琢磨し練習に励んでいます.



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