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<学生団体>4月のおすすめ本

1)『きみはポラリス』 三浦しをん 著
▶ISBN:9784101167602
▶書名:きみはポラリス
▶著者:三浦しをん
▶出版社:新潮文庫
▶本体価格:630円

それが恋なのか、はたまた愛なのかなんて分からないけれど、誰かを特別に想った記憶は自分の中でいつまでも褪せることなく輝き続けている。ひっそりとビターな話から柔らかくてクスッと笑える話まで、様々なかたちの恋や愛(のようなもの)の話を堪能できる本こそ、この「きみはポラリス」です。
私は今まで短編集に玉石混交のイメージがあり、そこまで好きではなかったのですが、この本がその偏見を覆してくれました。
「きみはポラリス」は全部の話が鮮烈に印象に残るんですよ。各話にテーマがあるのですが、そのテーマもまるで異なり、読んでいて飽きがこないのも魅力かと思います。
そして何より驚き、この本に惹かれたポイントは、どの話も読了感がとてもよい点です。
いわゆる真っ当な甘々ハッピー恋愛物話はゼロで、書き方によっては切なさ全開のどんより泥沼展開になりそうな状況だってあるのに、どの話もまったく暗さがなく、むしろひたすらキラキラした雰囲気になっているんです。なぜか心がスッと暖かくなるというか。
たとえ叶わないとしても想い続けることは不幸でも絶望でもない、そう気付かせてくれる素敵な話たちが収録されています。もしかするとあなたの心の中にも一等星があるかも知れない。是非読んで、そして探してみてください。


【評:経済学部4年 安田ゼミ 木学直子】

(2)『メモの魔力』 前田裕二 著
▶ISBN:9784344034082
▶書名:メモの魔力
▶著者:前田裕二
▶出版社:幻冬舎
▶本体価格:1,400円

エジソン、ナポレオン、ゲーテ、ニュートン、ナイチンゲールなど、多くの著名な偉人達には、ある一つの共通点があります。それは、生前に、膨大な量のメモを残している、猛烈なメモ魔だということです。エジソンは、生涯に300万枚ものメモや手紙を残したと言われています。300万枚は大学ノートに置き換えるとおよそ3500冊にも上ります。本書の著者である、前田裕二さんも猛烈なメモ魔の一人です。その猛烈なメモ魔である筆者が、実際にメモを取るときに使っているメモの技法がどのようなものか知ることができます。本書で得られるものはそれだけではありません。そのメモの技法を使って、自己分析、自分の夢をどのように実現するのか、といったことまで丁寧かつ具体的に書かれています。就職活動を始めたけれど、自分のやりたいことがはっきりしない人。自分のキャリアに迷っている人。メモを使って、人生を変えてみたい人。そんな人にとって、大いに役に立つ本です。ぜひ読んでみてください。


【評:安田ゼミ 前田】

(3)『砂の女 改版』 安部公房 著
▶ISBN:9784101121154
▶書名:砂の女 改版
▶著者:安部公房
▶出版社:新潮社
▶本体価格:520円

人間を他の動物と画すのは理性の存在なのだろう。理性は人間の行動を統御し、行動規範を決定する。では、人間から理性という皮を剥いだら何が残るのだろう。
安部公房は独自の世界観でそれを描く。砂と汗にまみれ、互いを求めあう肉欲的で野性味あふれる性交は形式ばったエロスではない。本能に突き動かされる男女の姿を蠱惑的に描く名作。


【評: 安田ゼミ 大村想】

(4)『ナイルパーチの女子会』 柚木麻子 著
▶ISBN:9784167910129
▶書名:ナイルパーチの女子会
▶著者:柚木麻子
▶出版社:文藝春秋
▶本体価格:750円

手商社の総合職として働く栄利子の唯一のコンプレックスは「同性の友達がいない」事。
そんな時、毎日愛読していたブログの作者、"おひょう"こと、専業主婦の翔子と出会い、親しくなる。
女友達ができて喜ぶ栄利子、しかしその友情は徐々に狂気じみていく。


ナイルパーチとは、生態系の競争に巻き込まれ、周りの魚を食い荒らす凶暴性を持つに至った魚。栄利子も「同性の友達」という価値観に縛られるあまり、翔子に理想の友達像を押し付け、ナイルパーチのように周囲との関係を壊していく。


栄利子の女友達を求める故の極端な行動は、恐怖や滑稽ささえ感じさせる。だが、他人事とは思えないのは、人との距離の難しさを私たちも常に感じているからだろう。友人が急に離れていった、想像と違う人間性を知り勝手に失望する、親しかった人が些細な事で一番憎くなる… 人間関係は、男女限らず完全にわかりあえることなどなく、脆い。


女友達だけでなく、家族、夫婦、職場の同僚、と様々な形の人との関わりが描かれていて、誰しもが考えさせられ、ドキッとさせられる。人間関係を見つめなおしたい人にオススメの一冊。


【評: 安田ゼミ 杉江】

(5)『阪急電車』 有川浩 著 
▶ISBN:9784344415133
▶書名:阪急電車
▶著者:有川浩 
▶出版社:幻冬舎
▶本体価格:533円

筆者が紹介するは、有川浩さんによる、短編小説集の『阪急電車』です。
『阪急電車』は2008年に発売され、その発行部数は100万部を突破しており、今でも多くのファンに愛されている本です。


そして、舞台は阪急電車の今津線です。
始発から終電まで、そして折り返す電車と、出会いや別れ、家族愛などの人間ドラマの模様が重なり合う物語です。


偶然乗り合わせた乗客たちの言動が、他の乗客の人生をほんのちょっと変えてしまったり、有機的に繋がっていく構成はとてもユニークで、ほっこりします。


『阪急電車』の一章の作品は「西宮北口方面行き-宝塚駅」です。会社員の征志(まさし)が、ほぼ2週間に1度のペースで通っている図書館で見かけた女性と電車の中で言葉を交わす物語です。きっかけは、女性が征志の隣に座ったことで、話が盛り上がり、「この次会ったとき、一緒に呑みましょうよ」となります。恋が始まる一歩手前を描いたような短編で、ここから電車の進行とともに物語が進んでいきます。


この本の舞台とはちょっと違いますが、阪急電車は、阪大生にとても身近な存在だと思います。
スマホを見たり本を読んだりする平凡な日々の電車通学でも、ちょっと周りを見渡すと、色んな人間ドラマをのぞけるかもしれない。
そんなワクワクを感じさせてくれる本です。

【評:安田ゼミ 辻光明】

▼ 2019年4月の担当学生団体 ▼
安田ゼミ
安田ゼミは経済学部3年生4年生、大学院生からなる団体です。
人数はおよそ25人。
報道ランナーなどのテレビ番組にも出演する安田先生のもと、行動経済学について学んでいます。
安田ゼミの最大の特徴は、多様性です。所属する人間は、普通の日本人大学生だけでなく、留学生はもちろん、編入生や一度社会人を経験した人も所属しています。
多様な人々の様々な観点から議論を行うなど、日々活発な活動をしています。


● Coop Internship Program