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<教員>12月のおすすめ本

(1)小説天気の子 新海誠著
▶ISBN:9784041026403
▶書名:小説天気の子
▶著者:新海誠著
▶出版社:角川文庫
▶本体価格:600円

 娘に付き合わされて見に行った映画の小説版。映画での空・雲の描写があまりにも素晴らしい。スプライト(超高層雷放電)も美しい。さすが気象庁の荒木健太郎博士の監修です。その素晴らしさは小説でも反映されています。内容は10代向けではありますが心温まるものであり、さらにこの映画・小説を通して、少しでも多くの学生さんが気象・気候変動に興味を持って貰えればと思って、選びました。


(2)雲の中では何が起こっているのか 荒木健太郎著
▶ISBN:9784860643973
▶書名:雲の中では何が起こっているのか
▶著者:荒木健太郎著 
▶出版社:ベレ出版
▶本体価格:1,700円

 映画「天気の子」の気象監修を担当された荒木健太郎博士の力作です! “気象学“といった少し難しい理系分野の専門書ですが、数式などは一切登場させないで、わかりやすい文章と可愛らしいイラストでの説明。文理を問わず、ぜひお勧めしたいです。気象学をほぼ網羅しているだけでなく、この10数年にたびたび大きな災害をもたらしている“スーパーセル”などの最新知見や気象情報の活用の仕方など、実生活に役立つ内容がちりばめられています。さらに、“荒木博士の雲への強い愛も感じる”というお勧めの一書です。


(3)人類と気候の10万年史 中川毅著
▶ISBN:9784065020043
▶書名:人類と気候の10万年史
▶著者:中川毅著 
▶出版社:講談社ブルーバックス
▶本体価格:920円

 地球温暖化を含め、これからの地球の気候の変化を予測するためには、今までの過去を知らないといけません。地球は氷期−間氷期という気候変動システムを持ち、さらには今では信じられないような気候の大変動(最近6万年弱の間に25回程度も、数10年間隔で10度もの温暖化−寒冷化の繰り返し)がありました。逆に今は地球史という長い時間スケールで見ると〝非常に安定した温かい時代〝とも言えます。筆者である中川毅教授は、福井県の水月湖の底に堆積している縞々の地層の分析を通して、地球の過去の気候変動の高精度復元を成功させた日本の古気候学の第一人者です。昨今のメディアでは頻りに異常気象・地球温暖化などと安直に報道していますが、そういった情報以前に、この地球でこれまでに何が起きていたのか、この本を通してぜひ学んで欲しいと思います。そして、今、この時点でも、地球の気候はどんどん変化しており、それに対して、我々人類が何をすべきなのか、一人一人が自分で考えるキッカケになってくれればと願います。


(4)なぜ疑似科学が社会を動かすのか 石川幹人著
▶ISBN:9784569829951
▶書名:なぜ疑似科学が社会を動かすのか
▶著者:石川幹人著
▶出版社:PHP新書
▶本体価格:800円

 血液型性格診断やお守りなど、世の中には昔から科学的に立証されていないことが文化として根付いています。それを根本的に否定するのではなく、なぜ人はそういったものを信じるのか、「疑似科学とされるものの科学性評定サイト」を管理されている石川幹人教授によるわかりやすい解説書です。但し、完全に疑似科学である水ビジネス(〇〇水)やマイナスイオン商品についての厳しい評価。体験を知識に格上げするのが科学であり、さらに知識を社会で共有することが科学の意義でもあるなど、特に文系学生さんに読んで頂きたいと思います。


(5)キリギリスの哲学 バーナード・スーツ著
▶ISBN:9784779509247
▶書名:キリギリスの哲学
▶著者:バーナード・スーツ著
▶出版社:ナカニシヤ出版
▶本体価格:2,600円

 ここ数年、既存のゲームの枠を超えたESPORTSが大きな発展をしつつあります。私もかなり熱中してしまい、世界的に有名なバトロワの1つであるPUBGモバイルではソロ征服者を達成しました。しかし、ゲームは単なる時間の無駄遣いではないのか、といった後ろめたさというか恐怖心があり、それを払拭、いや自己正当化するために見つけた一書です (笑)。初版が1978年と、今から約40年前にもかかわらず、現代のESPORTSに通じる「ゲーム/ゲームプレイとは何か」を中心的な問いにしつつ、さらには「良き生き方、よき人生、生きるに値する生とは何か」へと繋がっています。多少、難解な内容ではありますが、お勧めの一書です。


▼ 2019年12月の担当教員 ▼
廣野 哲朗 先生
廣野 哲朗先生プロフィール
理学研究科宇宙地球科学専攻 准教授
2001年に東京工業大学大学院理工学研究科修了(博士(理学))
Sustainabilityにおけるグローバルな諸問題への取り組みの一環として、主に活断層・地震・防災の研究。共通教育の基盤教養科目では、「宇宙地球科学の考え方 -奇跡の惑星 地球-」を担当。趣味として、昼休みに理学部前コートでよくテニスをしています。


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