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<学生団体>5月のおすすめ本

1)『誰がアパレルを殺すのか』 杉原淳一 染原睦美 著
▶ISBN:9784822236915
▶書名:誰がアパレルを殺すのか
▶著者:杉原淳一 染原睦美
▶出版社:日経BP社
▶本体価格:1,500円
ファッション業界はかつてない不振にあえいでいる。


現在のファッション業界について様々な例を挙げながら俯瞰的に書かれている本書は大きく分けて老舗百貨店やアパレルの衰退、spaや通販が主力の新興勢力、そして海外を視野に入れている企業とそれ以外の企業の動向について書かれている。


アパレル業界は今後衰退産業であり、かつ給料が安いという認識が世の中に流布しているが、完全に決めつけることは危険であり、現在でも成長しているアパレル企業は存在する。しかし過去の慣習を抜け出すことができない会社が今後アパレル業界から姿を消していくだろうという本書の考えはどの業界においても同じだろう。


この本の良いところは、ファッション業界の問題点だけを挙げるだけではなく、未来へのポジティブな展望を記している部分。


今と未来のファッション業界の全体構造を把握したい方に役立つ一冊。


【評:田中 佑弥】

(2)『ファストファッション』 エリザベス・L.クライン 著 鈴木素子 訳
▶ISBN:9784393333327
▶書名:ファストファッション
▶著者:エリザベス・L.クライン 鈴木素子
▶出版社:春秋社
▶本体価格:2,200円

クローゼットの中に一度も着ていない服は何着あるだろうか。


作者が感じ、体験してきたファストファッションに対する疑問を基に、本書は米国のファッション業界の歴史に触れながら、ファストファッションの生産・流通過程について記してある。安いものを高く買うという現代の消費スタイル。果たしてそれが本当に幸せなのか。ファッションを消耗品と考える考え方が果たして正しいのか。


筆者が考える服との理想の付き合い方は、次の言葉に集約されている。


「本当に好きな服だけ買うこと。必要以上に買いすぎないこと。そして、最大限に着回すことだ」。ファストファッションを悪とみなすのではなく、服に対する考えをどう持つかが重要ではないだろうか。映画「the true cost~ファストファッション 真の代償~」と合わせて、ファッションが好きな人だけでなく、環境問題や人権問題など社会課題に興味がある人は是非読んでいただきたい一冊。


(3)『社員をサーフィンに行かせよう』 イヴォン・シュイナード 著 井口耕二 訳
▶ISBN:9784478069721
▶書名:社員をサーフィンに行かせよう
▶著者:イヴォン・シュイナード 井口耕二
▶出版社:ダイヤモンド社
▶本体価格:2,000円

なぜ自分たちの会社が世の中に存在しなければならないのだろうか。


いまやアウトドアブランドとしてトップクラスの地位を築いているパタゴニアについて記されている一冊。


実はパタゴニアは環境問題に対する取り組みで非常に有名で、その先進的な取り組みはアメリカでもかなり注目されている。環境保全を謳っているミッションステートメントを忠実に守り、誇りを持ち現代を突き進んでいる。環境問題の解決が企業目的であり、ビジネスはそのための手段であると言い切っている。衣類のリサイクル活動など様々な戦略には創業当初から存在する確固たる哲学があり、だからこそここまでのアウトドアブランドに成長したのではないだろうか。


またこの本は美しく迫力のあるアウトドアの写真が多く、視覚的にも楽しませてくれる。


ファッションに興味がある人だけでなく、環境問題、そして特に企業経営などビジネスに興味がある人におすすめの一冊。


(4)『ひとはなぜ服を着るのか』 鷲田清一 著
▶ISBN:9784480429902
▶書名:ひとはなぜ服を着るのか
▶著者:鷲田清一
▶出版社:筑摩書房
▶本体価格:760円

よく大学にいると耳にする。「洋服なんてある程度整っていたらそれでいいよね」と。


そんなあなたにこの本を送りたい。


服に対する考え方やアクセサリー、化粧、そしてタトゥーなど人々が身体を飾る”ファッション”に対してどのような考えを抱いているだろうか。


ファッションとは何であるかということを哲学的に語ったこの一冊は、現象学的視線からアイデンティティや”自分”という存在に対してファッションを素材として分析している。


私達は服を着る限り、むしろ社会に生きる限り、モード(流行)から無関係ではいられない。


そして洋服は機能性のためだけのものではなく、むしろその側面は少なく他にあると言う。


私たちにも馴染みの深い大阪大学の元総長・鷲田清一氏が著したこの本の深い考察を、是非読んでいただきたい。あなたのファッションに対する考え方、そして自分という人間に対する考え方を考えさせられるはず。


(5)『ランウェイで笑って』 猪ノ谷言葉 著
▶ISBN:9784065101308
▶書名:ランウェイで笑って
▶著者:猪ノ谷言葉
▶出版社:講談社
▶本体価格:429円

夢を持ち、努力し夢を叶えられた人や何らかの事情で諦めた人、妥協した人。そんな経験をした人なら誰もが彼らの姿に共感するはず。


この物語の主人公はパリコレのモデルを夢見る158cmの女の子千雪と将来ファッションデザイナーを志すものの専門的教育を受けたことがなく家庭環境も厳しい男子高校生都村育人。多くの試練にぶつかり、夢を叶えられるのかという不安や葛藤を抱えながらも突き進む彼らの姿は読んでいて、自然とエネルギーが湧いてくる。


そしてファッションを題材にした漫画だが、ファッションに詳しくない人でも用語説明が多いため読みやすく、服飾やモデルといった分野の作品に抵抗を持つ人もいるかもしれないがそんなことを気にさせないくらいとにかく熱い。好きなものに情熱を注いだっていいじゃないか。夢を追いかけてもいいじゃないか。叶うはずがないと言われる夢を一途に追いかける2人の姿は、私たちが忘れていた大切なものを思い出させてくれる、そんな一冊。


▼ 2019年7月の担当学生団体 ▼
学生団体FtoS
 学生団体FtoSです!私たちは、「服を自分らしく楽しむきっかけを作る」ことを理念に掲げて活動しています。具体的な活動として、去年はまちかね祭でファッションショーを行ったり、服のリメイクをしたり、他大学と合同イベントを開催したりしました。本年度も、様々なファッションに関する活動を行う予定なので、よければTwitterとInstagramを覗いてみて下さい!
Instagram:ftos.170427
Twitter:@FtoS_170427


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